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川上先生の
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医療コラム2016.08.20

ヒト正常表皮細胞での試験を行い、白金パラジウムの新しい知見が得られました

ヒト正常表皮細胞に対する白金パラジウムの影響と題しまして、東海大学医学部協力の元、報告が行われました。

 

以前、ヒト胃がん・大腸がんに対する白金パラジウムの影響について研究を行いましたが、本研究はこの各種がんに対する影響を検討するのに非常に重要な研究となります。

 

世の中には様々な化学物質が溢れております。そして、そのような化学物質であっても大量に摂取すれば人間に対して何かしらの悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いということが考えられます。極端な話、普段から摂取している砂糖や塩であっても大量に摂取すれば生体影響が現れてしまうということが考えられます。

 

しかし普段摂取している分には何の問題もないということはなぜなのでしょうか?

 

人間には許容量と言うものがあります。これはヒトが毎日一生摂取し続けても何の影響も表さない最大無作用量(摂取しても問題がない量)に十分な安全率を掛けたものを一日摂取許容量と言います。

 

食物などはこの許容量は非常に大きいのですが、医薬品などはこの許容量は非常に小さくなります。ですから医薬品は規定量を服薬しなければならないのです。

 

さて、前置きが長くなりましたが、ヒト胃がん・大腸がんに対する白金パラジウムの影響に対して、この「許容量」が関係している可能性を排除しなくてはなりません。

 

簡単に言ってしまうと、

 

①白金パラジウムの性質による胃がん・大腸がんに対する毒性

②白金パラジウムが正常な細胞に悪影響を及ぼしてしまう可能性

 

に関する検討につながってきます。

 

しかし、本研究において正常細胞には何ら影響を及ぼすことがないという結果を得ることが出来ましたので、やはり白金パラジウムは、

 

「正常な細胞に対して悪影響を及ぼすことなく、がん細胞に対して制がん作用を示す可能性が考えられる」

 

という結論を導くことが出来るかもしれません。

 

下記、ヒト正常細胞に対する実験概要となります。

 

ヒト正常表皮角化細胞(NHEK)に対する白金パラジウムの影響

 

 

【材料】

  1)白金パラジウム(純パプラール水として):東洋厚生製薬所より供与を受けた

  2)ヒト正常表皮角化細胞(NHEK):女性胸部皮膚由来 入手先:当該研究室保有

  3)培養関係:DMEM(12430 Gibco社製)、FCS(AHM9479)

  4)細胞生存率評価系:Cell Counting Kit (同仁化学)

 

 

【方法】

細胞数を5×103個に調整し、96穴プレートに播種、10%FBS加DMEMにて24時間培養、培養液中に純パプラール水を1%の濃度になるように添加した。 添加後 Oh、24h、48h、72h、96h培養後に細胞数を計測した。

 

ヒト正常細胞増殖性試験

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【結果】

添加群、非添加群の両者に、統計学的有意差は認められなかった。 培養96時間では、統計学的有意差は認められないが、対照群では、前値(72時間)に比して減少傾向、投与群では増加傾向を示した。これは投与群において、角化が抑制されたものと推察される。

 

NHEK Growth

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

ヒト正常表皮細胞において検討したところ、白金パラジウム添加群、非添加群の両者に統計学的有意差は認められなかった。培養96時間では、統計学的有意差は認められないが、対照群では、前値(72時間)に比して減少傾向、投与群では増加傾向を示した。これは投与群において、角化が抑制されたものと推察されため、正常細胞に対して影響を及ぼす可能性は低いものと考えられる。また、純パプラールにおいてがん細胞の抑制効果が認められているために正常細胞に比して何かしらのがん増殖抑制作用に対して効果が認められると考えられる。

川上智史

著者 : 川上智史(カワカミサトシ)


北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了
医学博士
予防医学を専門とし、一般向けに予防医学に関する学術講演や各教育機関で基礎医学に関する講義を行い、予防の重要性について啓発を続ける。
また、メディカルアドバイザーとして医学的に生活習慣病の講演会などを行うことで、それぞれの生活習慣病予防に対する生活指導を行っている。
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