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川上先生の
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医療コラム2016.09.20

睡眠の重要性~睡眠薬服薬と関連させて~

①睡眠とは?

睡眠とは医学的に言うと、周期的に繰り返す、意識を喪失する生理的な状態のことです。しかし人を含めた動物がなぜ眠らなくてはならないのかということに関してはまだ分かっていないのが実情です。

 しかし睡眠がなければ健康的な生活が出来ないという研究データ(心筋梗塞などのリスクが増加)もあるために、身体と脳の休息のために必要なものであるということが考えられます。

 すなわち言い方を変えると睡眠とは「疲れた体を癒し翌日への活力とするもの」ということが言えます。睡眠は人間の三大欲求の一つであり、人生のうちの三分の一が睡眠で締めていると言われています。

 これは以前まで睡眠時間は8時間が良いと言われていたために、一日が24時間であるため、その三分の一が睡眠時間に相当する=人生のうち三分の一が睡眠で占められているということに起因しております。しかし近年の研究データによると最も長生きできる睡眠時間は「7時間」と言われるようになりました。

 

 今回は脳波について触れませんが、睡眠は難しいことは抜きにすると、浅い眠り(REM睡眠)と深い眠り(non-REM睡眠)にわけることが出来ます。良くREM(レム)と言う言葉が出てくるかと思われますが、これは

 

Rapid Eye Movement=急速眼球運動

 

のことを表しています。

すなわち浅い眠りのときに目を開けてみると眼球が高速に動いているということになります。まだ分かっていないことが多いのですが、一説には夢の中の動きを追っているという仮説も立てられています。

 

夢を見るのは浅い眠りのときです。

 

睡眠にはリズムがあります。通常寝付いてからREM睡眠とnon-REM睡眠を繰り返し、約90分周期で一晩に3~6回REM睡眠が出現します。

 

眠っている間に何回も夢を見たというのはこのようなことから言えるのです。

 

なお、年齢を重ねていくとREM睡眠の割合は少なくなってきます。ですから昔と比べて睡眠時間が短くなったと感じるようになるのです。

睡眠の効果とメカニズム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※引用元:睡眠の効果とメカニズム/知っておくべき基礎知識まとめ

https://kenko-chokin.com/lifestyle/782

 

 

②睡眠と健康

 睡眠時間が十分に確保できていない場合、健康上の不都合が生じてしまうというのと同時に、日常生活に対して悪影響を及ぼしてしまうということがわかっております。徹夜した後の次の日は何をしても集中できないというのがわかりやすい例であると思われます。

 また睡眠時間が確保できないということは疲労を回復させることが出来ないということになり、結果的に事故にあってしまったり、疾患のリスクを上昇させてしまったりするということがわかっています。また、寝不足が何日も続いてしまいますと疲れた顔になるという状況が思い浮かぶかもしれません。これは疲労が蓄積している状態、すなわち活性酸素を発生しやすい環境となっています。

 その活性酸素によっても様々な疾患を引き起こしてしまいますので、やはり睡眠は健康の維持増進に重要な働きをしているということが考えられます。

 また眠ることによって成長ホルモンの分泌がなされます。成長ホルモンは成長させるだけではなく様々な細胞・組織の再生や修復を行ってくれるので、新陳代謝の働きも担っています。同時に免疫系の働きも強くしてくれるために、きちんと睡眠をとるということがいかに重要かお分かり頂けると思います。

 

③自律神経とのかかわり

 一般的に眠るということは自律神経系と深い関係があります。自律神経系は交感神経と副交感神経の二つから構成されていますが、一方が起きているときには必ずもう一方が休んでいるという状態です。すなわち交感神経が活性化しているときには副交感神経が休んでおり、副交感神経が活性化しているときには交感神経が休んでいるのです。これによって心身の健康を保つことが出来ると考えられます。ちなみに交感神経が活性化すると興奮・緊張状態となり、副交感神経が活性化すると眠くなります。

 睡眠はこのうちの交感神経から副交感神経に切り替わるという状態です。朝目が覚めるのは副交感神経から交感神経に切り替わるということ。これによって概日リズム、すなわち体内時計が調整されるということになります。

 

 しかし人間は強いストレスを浴びてしまうとこの自律神経系の切り替えが上手く行かなくなってしまいます。ということはストレスを浴びることによって寝付きが悪くなってしまったり、逆に寝起きが悪くなってしまったりということが起こりえます。これを一般的に「自律神経失調症」と言います。

 

④睡眠薬とのかかわり

 寝付きが悪い、眠っていても途中で目が覚めてしまうと言った時に、内科や心療内科を受診すると最近では少なくなってきましたが、睡眠薬や睡眠導入薬を処方してもらえることがあります。

 これらは短期間に限って服薬すれば決して悪いものではありません。しかし問題となってくるのが「依存性」や「耐性」です。依存性が出てきてしまうと、いざ眠ろうとしたときにこれらのお薬がないと眠れなくなってしまう。不安が生じてしまうと言ったことが起こりえます。また耐性がついてしまうとお薬を増量すると言った形で悪循環に陥ってしまう可能性も否定できません。

 睡眠薬には様々な種類のものがありますが、一般的に用いられているのが「ベンゾジアゼピン系:BZ系」と睡眠導入薬としては近年多く処方されているのが「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるものです。海外ではほとんど処方されることはありませんが、日本では安全性が高いと言うことで睡眠導入薬として非ベンゾジアゼピン系が比較的処方される傾向にあります。しかしやはり依存性があるお薬であるので、医師としては長くても通常は14日分までしか処方しません。

 

 お薬は体を良くしてくれる一方で服薬し過ぎると身体に悪影響を与えてしまいます。これは砂糖でも塩でも同じことが言え、化学物質である以上

 

「量-反応関係:Dose-Response」

 

が成立します。これは多く摂取すればするほど身体に影響を及ぼしてしまう、最悪の場合は死に至ってしまうというものを表した曲線です。

 

Dose-Response

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※引用元:薬理学総論

http://park12.wakwak.com/~pharma1/textbook/General/General.html

 

 

 身体に吸収されるものではこのような曲線が成立します。もちろん吸収されないものであれば多少多く摂取しても問題は無いとされています。

 

 睡眠に不安がある場合には一人で抱え込まずにきちんと内科や心療内科に受診するようにしましょう。

川上智史

著者 : 川上智史(カワカミサトシ)


北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了
医学博士
予防医学を専門とし、一般向けに予防医学に関する学術講演や各教育機関で基礎医学に関する講義を行い、予防の重要性について啓発を続ける。
また、メディカルアドバイザーとして医学的に生活習慣病の講演会などを行うことで、それぞれの生活習慣病予防に対する生活指導を行っている。
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