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医療コラム2017.03.21

活性酸素と花粉症の関係

活性酸素と花粉症の関係

現在国民病と言われるようになった花粉症。日本人の4人に1人は花粉症を有していると言われています。花粉症と言うと花粉症の約70%を占めているためにスギ花粉のイメージが強いかもしれません。確かにこの時期に言われている花粉はスギ花粉が多いので、スギのイメージが定着している部分がありますが、ここ数年はあらゆる花粉による花粉症、通年性アレルギー性鼻炎も多くなっていると言われています。

【花粉症は増加傾向?】

これだけ健康が叫ばれている中でじつは花粉症の有病率は非常に多くなってきています。これはスギ花粉の量が非常に増加しているということが一つと、様々な化学物質が溢れ返っているために身体でアレルギー反応が出てきてしまう「アレルギーマーチ」などが関係していると考えられます。

下記の図は花粉症の有病率を過去と比較したものです。少々前のデータですので、現在ではもっと増加している可能性が考えられます。

 

引用元:ライフ・サイエンス、2009年版アレルギー性鼻炎ガイド

http://www.jaanet.org/pdf/guideline_nose05.pdf

1998年と2008年の10年間の間に通年性アレルギー性鼻炎であれば約5%、スギ花粉症であれば約10%増加しているのがわかります。

同様に2009年版アレルギー性鼻炎ガイドによると年齢別に花粉症の有病率を見てみると興味深いデータがありました。

 

引用元:ライフ・サイエンス、2009年版アレルギー性鼻炎ガイド

http://www.jaanet.org/pdf/guideline_nose05.pdf

このように見てみると通年性アレルギー性鼻炎は比較的若年層に多く、スギ花粉症は中高年に多いということが分かります。

ではなぜ花粉症は引き起こされてしまうのでしょうか?

そのメカニズムについてみていきたいと思います。

【花粉症のメカニズム】

花粉症はアレルギーです。花粉症と言うとどのような症状を想像するでしょうか?おそらく目の痒み、くしゃみ、鼻水、鼻づまりと言った症状を想像するのではないでしょうか?このメカニズムを簡単に説明します。

花粉は生体にとって異物、すなわち元々ないものですので、「抗原」となります。抗原が生体に侵入してくるとその抗原を排除しようとして生体防御機構が働きます。そのうちの一つとして「マクロファージ」があります。このマクロファージが抗原を貪食(どんしょく)すると花粉を食べたという情報を出す「抗原提示細胞」になります。これがリンパ球の一種であるヘルパーT細胞に情報を提供するとそこからサイトカインと言う細胞活性因子が放出されます。サイトカインが同じくリンパ球の一種である「Bリンパ球」に作用するとBリンパ球が「形質細胞」に変わり、そこから「抗体」が産生されます。インフルエンザのワクチンなどで抗体を作ると聞いたことがあるかもしれませんが、同じようなメカニズムだと考えてください。一度抗体が出来上がると次に抗原が入ってきたときに即座に反応することによってその抗原を排除しようとします。

花粉の場合の抗体はアレルギーに関係しているので、IgEと言う抗体です。このIgEが肥満細胞と言う細胞に作用するとヒスタミンと言う物質が放出されます。このヒスタミンが目や鼻に到達すると、いわゆる花粉症の症状、目の痒みやくしゃみ発作、鼻汁、鼻閉などが引き起こされます。

理論で考えるとヒスタミンが多く出なければ花粉症の症状が出てこないということになりますので、そのヒスタミンを抑えるためのお薬が「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものになります。

【抗ヒスタミン薬の問題点】

花粉症に対するお薬である抗ヒスタミン薬は確かに花粉症に効きますが、残念ながら副作用で「眠気」が出てきてしまう方も多いのも現実です。眠気が強く出てきてしまって日常生活に支障をきたしてしまうというケースも少なくありません。

そもそもヒスタミンはアレルギー症状を引き起こすのと同時に脳をはっきりさせる作用もあります。

その脳をはっきりさせる物質を抑え込む=脳活動水準が低下する=眠くなるという理論が成立してしまいます。

また、お薬である限りそのほかの副作用の可能性も否定できません。

出来ればお薬には頼りたくないところもあるかもしれません。

【活性酸素と花粉症】

花粉症は免疫系の過剰反応ということになります。言い方を変えれば免疫系のバランスを改善することによって花粉症の症状が軽減すると言うことが考えられます。

花粉症と活性酸素と言うと何やらあまり関係のないもののように感じるかもしれません。

筆者の私見ですが、一つ考えてみると、大都市部に住んでいる方の方が花粉症に悩まされているというケースは少なくないような気がするはずです。これは大都市部には排気ガスを初めとする化学物質が多く存在しているために、生体内において活性酸素が大量に発生しているという可能性が考えられます。

その活性酸素は免疫系のバランスを崩してしまうことが知られています。

それによって花粉症の症状が強く出てきてしまうと言う可能性が考えられます。前述したように花粉症はアレルギーの一種です。逆を言えば免疫のバランスを保つことによって花粉症が抑制できると考えられます。

必要のない活性酸素を除去することによって免疫系のバランスが保たれるということが言われております。

活性酸素と花粉症には直接的かつこのように間接的に関係しているということが分かりますので、適度な活性酸素除去を行うことによって花粉症の症状が軽減される可能性が示唆されます。

今後研究を行っていき、皆様にデータ提供できるよう努めていきたいと考えております。

※参考文献

Carl Nathan et al.

Beyond oxidative stress: an immunologist’s guide to reactive oxygen species

Nat Rev Immunol. 2013 May; 13(5): 349–361.

川上智史

著者 : 川上智史(カワカミサトシ)


北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了
医学博士
予防医学を専門とし、一般向けに予防医学に関する学術講演や各教育機関で基礎医学に関する講義を行い、予防の重要性について啓発を続ける。
また、メディカルアドバイザーとして医学的に生活習慣病の講演会などを行うことで、それぞれの生活習慣病予防に対する生活指導を行っている。
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