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川上先生の
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医療コラム2017.05.20

腸炎ビブリオをご存知ですか?

2017年初頭、とある老舗旅館で腸炎ビブリオによる食中毒が発生しました。

約15名が感染症状を訴えたとの事です。

 

一般的に腸炎ビブリオは徐々に海水温が上がってくる時期に多くなりますので、

このようなところから考えると少々珍しいような現象です。

 

まずは腸炎ビブリオとはどのようなものなのでしょうか?

 

 

腸炎ビブリオは5類感染症定点把握疾患である感染性胃腸炎の起炎菌となります。

国立感染研究所によると8月を発生のピークとして、7〜9月に多発する細菌性食中毒の主要原因菌の一つであるとされています。

 

 

※画像元:東京都福祉保健局, 食品衛生の窓, 腸炎ビブリオ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/tyouen.html

 

サルモネラと同じくらい流行するので、食中毒起因菌としては非常に多い部類となります。

 

食中毒には大きく分けて二種類、細菌そのものが影響を与える「感染型食中毒」と、

細菌から発生する毒素によって影響を与える「毒素型食中毒」があります。

 

腸炎ビブリオはこのうちの感染型食中毒となります。

 

潜伏期間は比較的短くおおよそ10~20時間です。

早い場合には3時間と言う例もありました。
では腸炎ビブリオに感染するとどのような症状が起こるのでしょうか?
いわゆる腹痛や下痢などの食あたり症状が出て来るというのは想像しやすいかと思います。

 

 

国立感染症研究所によると臨床症状は以下のようになっております。

 

潜伏期間は12時間前後で、主症状としては堪え難い腹痛があり、水様性や粘液性の下痢がみられる。

まれに血便がみられること もある。

下痢は日に数回から多いときで十数回で、しばしば発熱(37〜38℃)や嘔吐、吐き気がみられる。

下痢などの主症状は一両日中に軽快し、回復する。

高齢者では低血圧、心電図異常などがみられることもあり、死に至った例もある。

※引用元:NIID国立感染症研究所, 腸炎ビブリオとは
http://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/chlamydia-std/392-encyclopedia/438-vibrio-enteritis.html

 

このように見てみると非常に恐ろしい症状を呈するというのがわかります。

やはり感染症にかかる前に予防することが重要になってきます。

 

腸炎ビブリオの特徴として、海に生息します。

この腸炎ビブリオによって汚染された魚介類を摂取することによって食中毒症状を引き起こしてしまいます。

また真水や酸に弱いというものがありますので、しっかりと真水で洗うことも重要になってきます。

 

 

さて、ここから新しい知見が得られたのでご紹介したいと思います。
白金パラジウムの腸炎ビブリオに対する効果を検証してみました。

すると予め培養しておいた腸炎ビブリオに対し、白金パラジウムを作用させたところ、以下のようになりました。

 

上記、腸炎ビブリオです。(3 %塩化ナトリウム溶液中)

 

ここに白金パラジウムを作用させたところ、一分後には

となり、ほぼ腸炎ビブリオの存在が無くなりました。(生菌数<10/mL))

 

 

3分後

 

 


5分後

 

 

以上のように白金パラジウムには腸炎ビブリオに対する抗菌作用があるということが確認されました。

 

 

それと比して対照群(白金パラジウムを作用させていない群)では

 

5分後

 

でした。

 

 

このようなことから単純に腸炎ビブリオの死と言うわけではなく、

白金パラジウムが腸炎ビブリオに作用しているということが分かります。

 

今後どのような形で作用しているのかを明らかにすることで、

様々な菌に対するいわば「抗菌薬」のような作用がある可能性が期待されます。

 

川上智史

著者 : 川上智史(カワカミサトシ)


北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了
医学博士
予防医学を専門とし、一般向けに予防医学に関する学術講演や各教育機関で基礎医学に関する講義を行い、予防の重要性について啓発を続ける。
また、メディカルアドバイザーとして医学的に生活習慣病の講演会などを行うことで、それぞれの生活習慣病予防に対する生活指導を行っている。
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