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川上先生の
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医療コラム2017.08.20

活性酸素はやはり「悪」です

前回は活性酸素は悪いばかりではないと言うお話をさせて頂きました。実は生体にとって体を異物から守ってくれているという良い側面も併せ持っているのです。しかしこれはあくまでも必要最低限の活性酸素の場合となります。

 

あまりにも多く活性酸素が体内で存在していると生体内の正常な組織を酸化させてしまうことで、いわゆるサビを生じさせてしまいます。これは常に引き起こされている現象ですが、生体内に存在しているSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼと言った酵素によって活性酸素を除去してくれているために恒常性(生体内部環境を一定に保つ働き)を保ってくれていると言えます。

 

このように考えてみると活性酸素の位置づけとしてはどのように捉えればいいのかと言う問題点があります。

 

活性酸素があったとしたら必要な活性酸素は異物の排除に働き、残った活性酸素は酸化させてしまうので、それを防ぐためにSODやカタラーゼが除去してくれる。これは一見合理的な気がしますが、活性酸素を発生させる要因には様々なものがあります。ということは活性酸素が体内で多く発生してしまった時にはSODやカタラーゼだけでは除去しきることが出来ないと考えられます。それが活性酸素の蓄積であると考えられます。

 

活性酸素が蓄積されたとしても人間の呼吸は絶え間なく続きます。その度に酸素が摂取されるということになりますので、除去しきれない活性酸素が残っている状態でさらに活性酸素が入ってくることになります。これに加え、良くない生活習慣を続けてしまい、活性酸素が多く出来上がってしまうとその分生体に影響を与えてしまうということが考えられるのです。

 

筆者の意見となってしまいますが、このように活性酸素が蓄積されるのは、今日明日のことではありません。長い年月をかけて全身の組織を酸化させてしまいますので、そこから引き起こされる疾患が「生活習慣病」につながってくると考えられます。

 

もちろん生活習慣だけではありません。日常的に生活している中で様々な要因によって活性酸素を発生させてしまいます。

 

出典:やさいでだんらん, 活性酸素とは?

http://www.yasai-danran.com/doc/yasai-kenkou/activeoxygen.html

 

上記のように活性酸素を発生させる要因には様々なものがあります。

では実際に活性酸素が組織を酸化させるとどのような事が起こるのでしょうか?

 

 

出典:銀座東京クリニック, 活性酸素とフリーラジカル

http://www.1ginzaclinic.com/hydrogen/hydrogen-gas-antioxidant.html

 

少々難しい図ですが、このような形で組織に対して傷害を与えてしまいます。

その結果どのような事が起こるのでしょうか?

抗酸化の父と言われているカリフォルニア大学バークレー校細胞生物学及び分子構造学教授であるレスター・パッカー博士によると、老化現象のみならず、200種類以上もの病気(病気の約90%)と活性酸素は関係があると言っています。

 

 

出典:XANGO, なぜ病気になるのか?

http://www.networkbusiness.gr.jp/bnm/enabling/seihin.htm

 

この中でも特に気になるのが日本人の死因第一位である「がん」です。

がんはもともと正常な細胞なのですが、細胞分裂する際にその分裂に失敗して異常細胞になったものをがん細胞と言います。普段の生活の中でもこのがん細胞は作られているのですが、細胞分裂する際に活性酸素が作用するとその分裂の失敗の可能性はより高くなってしまいます。がん細胞が多く出来上がってしまうことによって臓器に沈着したものを「がん」と言います。ですからがん自体は活性酸素が関係しているということが考えられます。

 

また、生活習慣病で良く取り上げられるものとして動脈硬化が挙げられます。高血圧や心疾患、脳血管疾患を引き起こす原因となるものなのですが、これも活性酸素が関係していると言われています。体内のタンパク質と反応するとタンパク質が変性することがわかっています。その結果として人体を構成している主成分はタンパク質なので、様々な疾患を引き起こします。同時に細胞膜は脂質二重層と呼ばれる脂質で構成されていますが、ここに活性酸素が作用すると過酸化脂質が出来てしまいます。その結果として動脈硬化を引き起こしてしまうと考えられています。

 

いまは病気ではないからあまり気にしないという方も少なくないかもしれません。しかし近年、「未病」と言う言葉がクローズアップされるようになってきました。

 

いまはまだ病気ではないけれどもその要因となるも尾を有している状態なのですが、まさに活性酸素はその代表例なのではないでしょうか?

 

次回はこの未病に関してのお話と活性酸素を除去する意味について健康の維持・増進と言う観点から見てみたいと思います。

川上智史

著者 : 川上智史(カワカミサトシ)


北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了
医学博士
予防医学を専門とし、一般向けに予防医学に関する学術講演や各教育機関で基礎医学に関する講義を行い、予防の重要性について啓発を続ける。
また、メディカルアドバイザーとして医学的に生活習慣病の講演会などを行うことで、それぞれの生活習慣病予防に対する生活指導を行っている。
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